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林業ってどんな仕事
What kind of work is forestry?
はじめに
山に居住している方は、林業という言葉を耳にする機会もあると 思います。
どんな産業なのか知っている方も多いでしょう。
しかし、都市部に住んでいる方には実際どういった産業なのかよくわからない方も多いかと思いますので、こちらで説明していきます
どんな産業なのか
林業の根幹(こんかん)、それは木材の生産です。
日本人は古くから木材を利用してきました。
料理や暖をとるための薪から、寺社建設のための木材まで様々な用途です。
現在ではコンクリート製の建物等も増え、木材って需要があるのだろうかと
思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
今でも様々なところに使用しています。
よく使用するコピー用紙も木材からできていますし、木造の家屋はもちろんのこと、最近では材を細かくして、火力発電にも使用してします。
農業が畑で野菜を育て、それを販売することで生計を立てるように、
林業は山で木を育てて木材を売ることがお仕事の一つなのです。
林業の役割
それは山の土壌が流されないよう保全することです。
山に草木がない状態ですと、容易に土砂が流されてしまうことで土砂れ等が
簡単に起こり、災害が多発します。
それだけでなく、草木がないことにより雨水が土の表面を流れてしまうため、山に貯水機能が無くなり、大雨時には洪水、逆に晴れが続くと渇水の原因と
なってしまいます。
そういったことを防ぐため、里山から人里離れた山奥に至るまで、
様々な森林を適切に管理していかなければなりません。
この役割は、一種の土木工事に似たところがあります。
つまり、土砂崩れを防ぐために擁壁を設置したり、
洪水を防ぐためにダムを建設するのと同じように、
災害を防ぐため森林を管理・整備していくのです。
木がないところには木を植え、木が多すぎて1本1本が上手く育ってないところでは、本数を調整し適切に育つよう管理をして山を保全する。
とても大切な役割ですね。
人が手入れをしなくても勝手に木は育つ?
「人が手入れをしなくても、森に生えている木は勝手に成長するんじゃないの?」とよく質問されます。
確かに自然に木が生えることでできた森(天然林)は、
自力でどんどん成長します。
(※人の手を加えなければならないところもありますが。)
しかしながら、人間が植林した森(人工林)は、
そうはいきません、例えば、
人が育てた動物はなかなか野生に戻ることができなくなってしまうように 、
人が植林した森も最後まで面倒を見なければ、
いずれは森林機能を失ってしまうのです。
どうやって森を育てていくのか?
1.地拵(じごしらえ)
伐採跡地や新たに森を育てたいところにある枝などの残材を、
植林しやすいように片付け、きれいに並べます。
2.植林(しょくりん)
その現場に適正な樹種・本数の木を植えます。
3.下刈(したがり)
植林した木は草よりも小さく、雑草に養分や日光をとられ成長することができなくなってしまうため、年1~2回植えた木を誤って刈らないよう注意しながら草刈を行います。
植栽後5年程度続けます。
4.除伐(じょばつ)
下刈後しばらく様子を見ていると、植栽木以外に切株から萌芽した木や、自然の中の種から芽を出した木も徐々に成長してきます。
そうすると、非常に密度の濃い森林となってしまうため、
植付け後10年~25年の間に1~2回程度不要木を伐採し、密度が適切になるようにします。
5.間伐(かんばつ)
植栽後25年から40年(長く期間をとっているところでは60年)
の間に、10年に1度程度この作業を行います。
木が成長すると枝が伸びますが、ある一定のところで他の木の枝とぶつかり、枝を伸ばす空間が無くなってしまいます。
そうなると木の成長が妨げられてしまいますので、本数を調整することでその森林の密度を適正に保ち、
さらなる木の成長を促すためにこの作業を行います。
最近では、間伐作業で伐採した木を出荷しています。
6.皆伐(かいばつ)
おおよそ45~80年ほどで、すべての木を伐採・出荷します。
これが終わるとまた1の工程に戻ります。
このほかにも様々な作業がありますが、
以上のようにして森を育てて行きます。
そして、1~6を繰り返して森林を循環させていきます。
皆伐、伐採って自然破壊ではないの?
木を伐採していると「自然破壊だ!」と言われることが間々あります。
こちらでも丁寧に説明させていただくのですが、
誤った認識を持たれている方がいらっしゃるようです。
確かにすべての木を切っていると、
非常に悪いことをしているように見えてしまうかもしれません。
しかしながら、決して環境破壊をしているわけではないのです。
木をいつまで経っても伐採・出荷しないのは、農業で考えてみると、
畑で端正込めて育てた野菜をもったいないからといって
出荷しないのと同じことです。
林業はあくまでも木材の生産を目的としています。
ですので、里山などでは森林資源の活用を第一に考え、
最適な時期に皆伐を行っていく必要があります。
また、いろいろな年齢の森林がほぼ同面積ずつ存在するようにも
考えて行かねばなりません。
すべての森が樹齢200年となっている場合を想定すると、
良いことのように思えるかもしれませんが、
それを待っていては安定的な木材の供給はできなくなってしまいます。
樹齢10年、20年、30年・・・100年、これらの樹齢の森が均等に存在するようにしていくことで、初めて安定的な木材の利用ができるのです。
そのためにも、ある程度の皆伐を行っていかねばならないのです。
ただし、山の奥地など木の出荷を考えていないところでは、
この限りではありません。
出荷できない場所の木をすべて切ってしまうことは、
ただの自然破壊になってしまいます。
そのようなところは手入れを繰り返し、
徐々に自然の力による森の更新に移行していく必要があります。
また、高齢級の森林はCO2の吸収率が落ちてしまいます。
森林は、成長していくごとにCO2の吸収量があがっていき、
ある一定の年齢から吸収量が落ちていきます。
ですので、温暖化を防ぐ観点からもある程度のところで伐採し、
再度植え付けを行い循環させていくことも必要になります。
以上のことから、皆伐・伐採を行うことは
自然破壊につながらないのです。
作業写真
こんな感じで作業しています。
おわりに
ここまで林業の概要を説明してきました。
これらのことを基本として作業を行っています。
基本的に目につかないような山奥で作業を行っていますので、
実際に林業作業を生で見る機会はなかなか無いと思います。
林業作業に詳しい方はもちろんのこと、よくわからない方にも、
林業とはどのような産業なのかということに
もっと興味を持っていただくことが、非常に重要だと考えています。